お茶会もエアロビクスも同じかず五千八百歩を携帯記す携帯電話には万歩計の機能が付いているものがある。
(津布久愔子) 【短歌人 9月号 会員2 73頁】
ということを知っていれば、「五千八百歩を携帯記す」を不思議に思うことはない。
この歌のおもしろさは、異なるものが(ある視点を導入することによって)同一であることを発見しているところである。
「お茶会」と「エアロビクス」、<静>と<動>がしかし、終わってみると、携帯電話の万歩計機能では同じ歩数を記録していた。
そこに驚き・不可思議を感じたのであろう。
その感じたはずの驚き・不可思議の気持ちをわざわざ歌の中に書かないところが、良い。
これはひとつ技術である。
また「お茶会」「エアロビクス」という語からは、主体の健やかな生活が立ち上がるようで、この歌はよい風が吹いている。
注文が2つ。
1つ。「同じかず」は、言わずもがな、である。わざわざ言う必要はない。これは短歌の定型に安くはまってしまった、と見る。自戒も込めて、作歌上の注意点である。
2つ。語の表記は大きく個人の趣味の問題となるが、僕なら「五千八百歩」ではなく「5800歩」とする。おそらく携帯電話に表示される数字はアラビア数字ではないだろうか。
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